将棋の8大タイトルの一つ【王将戦】
渡辺王将への挑戦権を賭けてただいま挑戦者決定リーグが進められています。
このリーグ戦は前年度リーグ戦の成績上位者4名と、当年の予選リーグを勝ち上がって
きた3名の合計7名による総当たりとなります。
つまり各棋士とも6戦を戦わなければなりません。
錚々たるメンバーの中、先日竜王戦が始まったばかりの藤井三冠も
忙しいスケジュールをやりくりしてリーグ戦に参加中です。
なじみのない方にはわかりにくいですが、8大タイトルのうち藤井さんは3つを保有
していますが、王将というタイトルはもっていないため、このタイトルについては
挑戦者なのです。
しかし、今日取り上げたいのは藤井さんではなく、
私にとっては同い年の星 羽生さん(51)です。
数年前に将棋界では初めての国民栄誉賞を受賞した羽生さん、
彼がいかにすごいかはWikipediaなどでご確認いただきたいのですが、
それまでの将棋界の常識を根底から覆す精密且つ斬新な勝ちっぷりで
最年少記録を次々と塗り替えて来られました。(同い年ですがもちろん敬語です)
1996年 当時はビッグタイトルは7つでしたが
同時に7大タイトル全て獲得という信じられない金字塔を打ち立てられました。
単に将棋の力量だけでなく、
日本各地を転戦するための体力、
5番勝負や7番勝負という連戦を戦い抜く集中力、
心乱されることなく安定した力を発揮する精神力、
心・技・体全てが高い水準で整う必要があります。
26歳の私は羽生さんのすさまじい活躍に拍手喝采を送り、勇気をもらっていました。
羽生時代はその後も長く続き、さすがに7冠キープは厳しかったものの
40歳くらいまでは常に3冠程度は保持し続けていたのです。
しかしながら数年前に最後のタイトルの奪われ現在は無冠。
ご本人は特に仰っていませんが、さすがに体力気力が衰えてきたのかな・・・
「羽生マジック」と言われた切れ味がなくなってきたかな(失礼ながら)
さて、話は戻って王将戦の挑戦者決定リーグ第3戦(10/13)
相手は羽生さんに世代交代を突き付けたと言っても過言ではない豊島竜王。
中盤から激しい攻め合い、凌ぎ合いになり
少しのミスでどう転ぶか分からない死闘でしたが138手までで羽生さん勝利。
敢えて大駒を取らせても相手玉深くに攻め込んだり、逆にその取られた大駒で
攻め込まれたり、
素人目にも攻守交替の激しい展開で
かつての羽生マジックと恐れられた「神の一手」は無かったように思いますが
若き竜王の意地の反撃に
時々たじろぎながらもひるまず押し切った羽生さんの執念を感じる勝利でした。
まだまだ若い者には負けん! そんな年配者の貫禄というものでは
ありません。
過去の実績はいかに豊島竜王でも羽生さんの足元にも及ばないくらい
圧倒的ですが、今はそんなこと言ってはいられない。
たとえ泥臭くとも今のベストを尽くして立ち向かう。
強すぎる若き羽生善治とは違う、「人間」羽生善治の強さを感じました。
頑張れ羽生さん! これからも応援し続けます。
同世代の星として、もう一花、いやもっと咲かせて欲しい。
なお棋譜はYoutubeなどで検索出来ると思うので是非見てみてください。